ネット上の掲示板やSNSでは、「日テレ版ドラえもんは黒歴史として意図的に歴史から抹消されたのではないか」「原作者の藤子・F・不二雄先生が激怒してフィルムを処分した」という過激な言説が散見されます。しかし、一次資料と制作関係者の回想録を検証すると、実態は大きく異なります。
番組がわずか半年で終了したのは、視聴率の不振ではなく、制作会社である日本テレビ動画の経営破綻・解散が直接の原因でした。会社清算に伴いネガフィルムや制作素材が散逸し、長年再放送やパッケージ化が法的に困難な状態に陥ったことが、「幻のアニメ」「封印作品」と呼ばれる最大の要因です。
日テレ版のキャスト陣を見ると、ドラえもん役に富田耕生さん(後に野沢雅子さんへ交代)、のび太役に太田淑子さん、スネ夫役には八代駿さんと、当時の最高峰の演技巧者が集結していました。決して作品クオリティが低かったわけではなく、制作現場の経営問題という外的要因によって幕を閉じたに過ぎません。その中でジャイアンを熱演した肝付さんの演技があったからこそ、後のテレ朝版へのスタッフ陣の信頼と、スネ夫役への再登板へと繋がったのです。