半世紀以上にわたり日本の芸能界を事実上支配してきた旧ジャニーズ事務所が廃業に追い込まれた最大の引き金は、創業者・ジャニー喜多川氏による長年の性加害問題に対する社会的制裁でした。2023年3月の英BBCによるドキュメンタリー報道を皮切りに、元Jr.らによる実名告発が相次ぎ、長年タブー視されてきた問題が白日の下に晒されました。
決定打となったのは、企業統治の不全を指摘した外部専門家による特別チームの調査報告書と、国連人権理事会の専門家による見解公表です。これにより、テレビ局や大手広告主が一斉にタレント起用の見合わせを発表。CM契約の打ち切りが相次ぎ、事務所は年間で数十億円規模に及ぶ甚大な経済的打撃を受けました。
経済界からの完全な包囲網を受け、事務所は2023年10月、「ジャニーズ」という名称の完全撤廃と、被害者への補償業務に特化する「SMILE-UP.(スマイルアップ)」への社名変更、そして所属タレントの移籍先となる新エージェント会社「STARTO ENTERTAINMENT(スタートエンターテインメント)」の設立を発表しました。
SMILE-UP.の公式公表資料によると、申告者に対する補償金支払いは着実に進められており、対象者の9割以上において合意・支払いが完了または進展を見せています。補償業務が完了次第、SMILE-UP.自体も法的に完全解散・清算されることが決定しており、60年超続いた同族経営の歴史は名実ともに幕を下ろすこととなりました。