絶望的な宣告を跳ね除けた原動力となったのが、夫・源高志氏による常軌を逸した献身でした。人気放送作家として第一線で多忙を極めていた源氏は、妻の急報を受けるやいなやレギュラーの仕事を大幅に整理。生活のすべてを佳那晃子の看病に捧げる決断を下しました。
源氏が病室で実践したのは、単なる付き添いの枠を超えた五感刺激アプローチでした。当時の特番インタビューや手記において、源氏は「医学が匙を投げても、彼女の魂は生きていると確信していた」と述懐しています。病室には佳那晃子が愛したクラシック音楽や出演作の音声トラックを常に流し、硬直しかけた手足を毎日何時間もかけてマッサージし続けました。
さらに、毎日のように「晃子、戻っておいで」「今日はこんなにいい天気だよ」と耳元で語りかけ、妻の好きな香りを病室に漂わせるなど、脳の奥深くに眠る意識を呼び覚ます試みを一日も欠かさず継続したのです。医学的データだけでは説明がつかない意識の覚醒は、この夫婦の濃密な絆と執念が手繰り寄せた結実であったことは間違いありません。