かつて全国の頂点に君臨した剛腕は今、どのような姿でマウンドに立っているのか。現在の柿木蓮は、かつてのような力任せの投球スタイルから完全に脱皮し、洗練されたピッチデザインと緻密な制球力を兼ね備えた実戦派右腕へと変貌を遂げている。
球速への過度な固執を捨て、打者の手元で鋭く変化するカットボールやツーシームの精度を極限まで高めた。トラックマンのデータと向き合いながら、リリースポイントのブレをミリ単位で修正。最速150キロを超える直球の威力に頼るだけでなく、球の出どころが見えにくいフォームから繰り出される多彩な変化球で打者を翻弄する投球術を確立しつつある。
苦しいリハビリや二軍での長い登板間隔を経験したことで、精神面にも太い芯が通った。一球にかける集中力と冷静な状況判断力は、高校時代のそれとは一線を画す。逆境を乗り越えた者だけが放つ静かな凄みが、現在の彼のピッチングには宿っている。