空の青さを司る主役は、大気の主成分である窒素や酸素の分子だ。これらの分子サイズは、可視光線の波長よりもはるかに小さい。このナノスケールの条件下で起こる現象がレイリー散乱である。散乱される光の強さは波長の4乗に反比例するため、波長の短い青い光(約450ナノメートル)は、波長の長い赤い光(約700ナノメートル)に比べて約10倍も激しく四方八方に散らされる。その結果、全方位から散乱された青い光が私たちの目に飛び込んでくる。
一方で、空に浮かぶ雲や霧が白く見えるのは全く別の物理法則による。空気中の水滴やエアロゾル粒子は光の波長と同等かそれ以上に大きいため、波長に依存しないミー散乱が発生する。すべての色の光が均等に散乱されて混ざり合うため、雲は純白に輝く。澄み渡る青と遮る白――このコントラストは、大気中に漂う粒子のサイズの違いが生み出す芸術である。