近年、知のアーカイヴのデジタル化に伴い、長谷川堯の遺産に再び光が当たっている。国立国会図書館デジタルコレクションの活用が進んだことで、過去の建築専門誌や文芸誌に寄稿された長谷川の先鋭的なエッセイ、論争の記録が容易に閲覧可能となった。当時の熱を帯びた活字の数々は、半世紀の時を経てもなお新鮮な驚きを放つ。
さらに、NHKオンデマンドをはじめとする映像アーカイヴでは、昭和から平成にかけて長谷川が出演・監修した建築ドキュメンタリーや対談番組の価値が再評価されている。画面越しに伝わる低く落ち着いた語り口、建築物を前にしたときの鋭敏な視線。文字資料と肉声の双方向から彼の足跡を追体験できる環境が整ったことで、若い研究者やクリエイターの間で長谷川理論の再読が急速に広がっている。