膠原病という概念は、1942年にアメリカの病理学者ポール・クレンペラー博士によって提唱されました。人間の体を構成する細胞同士を繋ぎ合わせる「膠原線維(コラーゲン)」を含む結合組織に、フィブリノイド変性と呼ばれる共通の病変が確認されたことに端を発しています。
本来、私たちの体内にある免疫システムは、外部から侵入したウイルスや細菌などの異物を排除する防衛機能を担っています。しかし、何らかの異常によって自らの細胞や組織を「敵」と誤認し、抗体やリンパ球が自己の体を攻撃してしまう状態を自己免疫疾患と呼びます。膠原病はこの自己免疫反応が血管や関節、内臓など全身多岐にわたって生じる疾患群の代表格です。
特筆すべき特徴として、膠原病が女性に多い理由が挙げられます。全身性エリテマトーデス(SLE)では男女比が約1:9、シェーグレン症候群では約1:17と圧倒的に女性に偏っています。近年の免疫ゲノム研究において、女性ホルモンであるエストロゲンが自己抗体の産生を促進する作用を持つことや、免疫関連遺伝子が集中するX染色体を女性が2本持つ(X染色体の不活化のゆらぎ)ことが、免疫の過剰応答を引き起こす主因であると突き止められています。