近藤勇の生涯を語る上で欠かせないのが、副長・土方歳三との類まれな信頼関係です。「鬼の副長」として隊内を厳格な法度で統制した土方と、情に厚く豪快な人柄で隊士たちを惹きつけた近藤。性格は対照的でありながら、二人は互いを深く理解し、補い合っていました。
近藤が流山で投降を決意した際、土方は必死に止めましたが、近藤は自らの身を挺して仲間を救う道を選びました。後に土方は箱館の地で戦死するまで、近藤の助命が叶わなかった無念と、彼の意志を継ぐ覚悟を胸に戦い続けました。
近藤が処刑直前に詠んだとされる辞世の漢詩には、彼の高潔な精神が色濃く残されています。
「孤軍 援絶えて 俘虜と為る 顧みて恩情を思えば 涙 露を添う 聊か操を同じうす 孤臣の情 他年 芳を争わん 愧づるに非ず」(孤立無援となって捕らわれの身となったが、主君への恩義を思えば涙が溢れる。忠誠を尽くした我が心に一片の恥じるところはなく、後世の歴史がその真価を明らかにするだろう)
農民の出でありながら、当時の誰よりも「武士よりも武士らしく」生きることにこだわり、徳川幕府への至誠を貫き通した姿勢が、この言葉に凝縮されています。