物語の核となる「言葉が通じない不気味な巨人」のアイデアは、諫山創氏自身が経験した生々しい実体験から生まれています。諫山氏は過去のインタビューにおいて、上京したての頃にアルバイトをしていたインターネットカフェでの出来事を明かしています。
ある深夜、店内で泥酔した客に対応した際、胸ぐらを掴まれるトラブルに遭遇。その人物に対してどれだけ言葉を尽くして説得しようとしても全く意思疎通が取れず、相手が何を考えているのか分からない底知れぬ恐怖を味わいました。「世界で一番怖いのは人間であり、言葉が通じない存在である」と痛感したこの瞬間こそが、理屈が通用しない巨人の行動原理へと昇華されたのです。
捕食のグロテスクさ以上に、人間のような姿をしながら感情が一切読めない巨人の不気味さは、作者が実際に肌で感じた「生身の恐怖」がベースになっています。