トレーニングの反応性が人によって大きく異なる根本的な要因は、遺伝と筋肥大の関係にあります。なかでも筋肉の成長スピードを左右する最大の要素が「速筋と遅筋の割合」です。筋肉を構成する筋線維には、瞬発力を生み出し太くなりやすい「速筋(タイプII線維)」と、持久力に優れ太くなりにくい「遅筋(タイプI線維)」が存在します。この生まれ持った比率は生涯を通じて大きく変わることはなく、速筋の割合が高い人ほど、バーベルを握った瞬間に筋トレ効果が出やすい理由がここにあります。
さらに注目すべきはミオスタチン関連遺伝子の働きです。ミオスタチンとは筋肉の過剰な増殖を抑えるブレーキ役のタンパク質ですが、この分泌量が先天的に少ない人は、筋肥大のブレーキが弱く、トレーニング刺激に対して爆発的な筋量増加を示します。スポーツ科学の現場では、同じ刺激を与えても筋肥大の反応が極めて高い「ハイパーレスポンダー」と、反応が控えめな「ノンレスポンダー(ローレスポンダー)」の存在が認知されており、その差の土台にはこうした生化学的ファクターが存在しています。