男子競泳水着の歴史を振り返ると、かつては「水着の布面積を極限まで減らし、素肌を露出することこそが最速への道」と信じられていた時代が長く続きました。1970年代から1990年代にかけては、脚の可動域を広げ、キック時の股関節の動きを一切妨げない構造として、股上が極端に浅いブーメランパンツ全盛期が築かれたのです。
当時の技術では、濡れた布地は重く、水を含んで膨らむため、水の抵抗を生み出す最大の原因とみなされていました。そのため、各メーカーはサイドの幅をわずか数センチまで削ぎ落とし、カッティングの鋭さを競い合っていた歴史があります。
しかし、2000年前後を境にスポーツ工学と繊維テクノロジーが劇的なブレイクスルーを迎えます。流体力学のシミュレーション解析が進んだ結果、従来の常識を根底から覆す決定的な事実が明らかになりました。