長年親しまれてきた京都バス一日乗車券の廃止理由には、京都市が直面した切実な都市交通問題が存在します。かつて700円で販売されていたバス専用券は圧倒的なコストパフォーマンスを誇った反面、観光シーズンの主要路線に旅行者が殺到する要因となっていました。その結果、市民が通勤・通学で利用するバスに乗り切れない事態や、慢性的な道路渋滞による大幅な遅延が日常化し、深刻な社会問題へと発展した経緯があります。
京都市交通局は混雑の平準化と観光客のスムーズな移動を両立させるため、利用者を定時性の高い地下鉄へ誘導する「モーダルシフト」を決断しました。バス一日券の廃止と現在の状況を振り返ると、2023年9月末に販売終了、2024年3月末に利用終了となり、現在は地下鉄路線網を軸とした移動スタイルが完全に定着しています。「券がなくなった」のではなく、「より渋滞に強く快適な移動手段へ統合された」というのが正確な実態です。