店名の由来を知るファンは、この空間に足を踏み入れた瞬間に思わず笑みをこぼす。その名は、村上春樹とイラストレーターの安西水丸がタッグを組んで1983年に世に送り出した短編絵文書『象工場のハッピーエンド』へのオマージュだ。
店内には、どこか乾いたユーモアと静謐な哀愁が漂う。壁一面の本棚には、村上春樹の著作はもちろん、国内外の小説やアートブック、写真集がぎっしりと並ぶ。かつて村上作品を読み漁り、深夜の孤独をやり過ごした経験のある読者なら、この空間が放つ気配に深い居心地の良さを覚えるはずだ。無骨なインダストリアルデザインと温もりのある本の手触り。その絶妙な均衡こそが、訪れる者の心を捉えて離さない。