なぜ静岡学園はこれほどまでに多くのプロサッカー選手を輩出し続けられるのか。その核心にあるのが、チームを率いる川口修監督の確固たる育成哲学です。前監督である井田勝通氏が築き上げた南米・ブラジル流のテクニカルなフットボールをベースにしながら、川口監督は現代のスピード感とインテンシティに対応する「実戦的な技術」へと昇華させました。
川口監督が掲げる育成の根幹は、「目先の勝利だけを目的としたサッカーはしない」という一貫したスタンスにあります。一般的な強豪校に見られるような、屈強なフィジカルを生かしたロングボール戦術や極端なリスクヘッジは排斥され、どれほど相手のプレッシャーが激しくとも、足元でボールを収めて自ら打開する判断が求められます。
「育成年代で最も伸ばすべきは、どんな局面でもボールを自由に扱える技術と、相手との駆け引きを楽しむ感性である」という指揮官の言葉通り、指導現場ではパスの正確性だけでなく、ボールを受ける前の身体の向き、フェイントのキレ、相手の重心の逆を取るステップワークが徹底的に刷り込まれます。勝利至上主義に陥ることなく、「プロのピッチで生き残るための個の力」を10代のうちに徹底して叩き込むことこそが、静学がプロの登竜門と呼ばれる所以です。