車両の巨大化に伴い、受け入れ側である医療機関のインフラも救急車の寸法に最適化された設計基準が敷かれています。
救急病院の搬送口(アンビュランス・ベイ)の高さ設計
災害拠点病院や救命救急センターの救急搬送口は、救急車がスムーズに停車・展開できるよう、進入路の天井高を最低でも3.0m〜3.5m以上確保することが標準とされています。雨天時に雨風を完全に防ぐキャノピー(ひさし)が設置されている場合でも、全高2.5mの救急車がバックで接車した際にアンテナやバックカメラが接触しない余裕幅を持たせています。
特殊大型救急車の存在
さらに特殊な例として、東京消防庁や大都市圏の消防局に配備されている「スーパーアンビュランス(大規模災害対応多目的消防治療車)」や大型トラックをベースにした特殊救急車が存在します。
これらは中型・大型トラックのシャシーをベースにしているため、全高は約3.4m〜3.7m、車両全長も10m以上に及びます。内部が左右に拡張して広大な野戦病院のような処置室に変化する構造を持ちますが、その高さゆえに走行できる道路や進入可能な現場は極めて限定的です。日常的に街中を駆け巡る高規格救急車の約2.5mというサイズは、機動性と車内治療空間を両立させた限界ギリギリの到達点です。