主人公・結城リトの特異性も、本作を語る上で外せない。彼は物理法則を無視した数々のハプニングを引き起こす「歩く災害」でありながら、内面は極めて誠実で禁欲的な少年として描かれる。誰も傷つけたくないというリトの優しさは、時に優柔不断な受動性として機能する。
この受動的なリトに対し、モモは徹底して能動的なトリックスターとして立ち回る。リトの周囲にいる少女たち――西連寺春菜、古手川唯、金色の闇――の感情を分析し、外堀を埋めていく。能動と受動のコントラストが明確だからこそ、読者はモモの策略に翻弄されるリトの姿にカタルシスを覚えた。