国際的に問題視されるディプロマミル(学位請求・販売組織)の影は、中東の教育界にも暗い影を落としている。カイロ大学はアラブ世界最高峰の学府として君臨する一方で、その内部統制やアーカイブ管理の杜撰さは長年指摘されてきた。
エジプト高等教育省の管轄下にある各大学では、かつて紙ベースで管理されていた古い学籍簿の紛失や改ざんが頻発している。電子データベースへの移行が進む過程で、本来は存在しないはずの記録が「補正」される事例が報告されており、これこそが学位売買組織にとって格好の抜け穴となっている。
軍部や政府高官との個人的なパイプがあれば、学業実態の伴わない留学生に対して「特別配慮」の卒業証明が発行されることも、現地社会では半ば公然の秘密だ。学術的な正当性よりも国家間の友好関係や政治的便宜が優先される土壌が、疑惑の解明をより困難なものにしている。