カーティス音楽院の門を叩く受験生を待ち受けているのは、一切の妥協が許されない過酷な選考プロセスです。
入学オーディションは通常、ビデオ審査(プレスクリーニング)から始まります。この段階で応募者の大半がふるい落とされ、現地フィラデルフィアで行われる本選(Live Audition)に招待されるのはごく一握りです。本選では、単に課題曲をミスのない完璧な技巧で弾くだけでは合格できません。「その楽器で何を表現し、将来どのような音楽家として世界に貢献できるのか」という、揺るぎない音楽的アイデンティティが試されます。
年齢制限や受験資格に関しても、専攻ごとに明確な方針が定められています。
- ピアノ科・バイオリン科・作曲科:厳格な年齢制限は設けられておらず、10代前半の神童(プレ・カレッジ枠を含む)から20代前半までが幅広く挑戦します。実際、過去には10代前半で本科学位相当のプログラムに受け入れられた例もあります。
- 声楽科・オペラ科・指揮科:身体の成熟やキャリアの前提知識が不可欠なため、20歳以上や学士号取得相当の年齢制限・受験資格が設定されているケースが一般的です。
現地のオーディションを経験した演奏家たちの証言によると、審査員を務める教授陣は「すでに完成されたテクニックの上に、指導によってどこまで化けるかという柔軟性(Coachability)」を冷徹に見極めていると語られています。