プロスポーツ業界において、「二世アスリート」という肩書きは諸刃の剣だ。初速の注目度やスポンサーの獲得においては絶大な恩恵をもたらすが、ひとたびリングやピッチに立てば、その看板は重圧となって選手の両肩にのしかかる。父の実績と比較され、わずかなミスでさえ過剰に叩かれるリスクを常に孕んでいる。
しかし、孝太はその十字架から逃げることをやめた。「カズの息子だから注目された。それは事実。だからこそ、実力で黙らせるしかない」――周囲にそう語ったという彼の言葉には、覚悟を決めた男特有の静かな凄みが宿る。血筋の恩恵を自覚した上で、それを己の武器へと昇華させる強靭なメンタリティが育ちつつある。