昭和から平成、そして令和に至るまで、大日本除虫菊が展開するコマーシャルは常に異端であり続けてきました。多くの家庭用殺虫剤CMが「どれほど強力に虫を退治できるか」「どんな新成分が配合されているか」をCGや実験映像で競い合うなか、大日本除虫菊 CM 演出の真相を探ると、そこには競合他社とは真逆の強烈な哲学が存在しています。公式発表資料や当時のクリエイティブ関係者の証言によると、同社の一貫した方針は「商品の機能を誇らしげに語るのではなく、まず視聴者に強烈な愛着と驚きを持ってもらうこと」にありました。
その原点として語り継がれるのが、1980年代初頭に日本中を席巻したキンチョール コマーシャル 郷ひろみのシリーズです。当時、日本を代表するトップアイドルであった郷ひろみさんが、真顔で「ハエハエカカカ・キンチョール・ナンチャッテ」と叫びながら奇怪なポーズを取る演出は、お茶の間に凄まじい衝撃を与えました。美しいスターに恥じらいを捨てたナンセンスギャグを演じさせるギャップは、瞬く間に流行語となり、殺虫剤という生活臭の強いアイテムを一気にエンターテインメントの領域へと押し上げたのです。
そして1990年代に入ると、金鳥のユーモアはさらに洗練された「不条理演劇」の領域へと進化を遂げます。その頂点に君臨したのが、キンチョールCM 岸部一徳と名優・大滝秀治さんによる伝説的なコンビネーションでした。縁側や水車小屋、工場などを舞台に、2人のベテラン俳優が醸し出す重厚かつ気まずい空気感。「お前が飲んだら死ぬど」「つまらん!」といった極端に短い掛け合いは、台本に書かれた文字以上の緊張感と可笑しみを生み出しました。
視聴者は「次はどんな展開になるのか」と固唾をのんで見守り、結果としてCMの枠を越えたひとつのショートフィルムとして脳裏に焼き付けられたのです。キンチョール 歴代CM 面白い理由の根底には、製品を前面に押し出さず、人間が持つ滑稽さや日常の裂け目を観察し尽くしたクリエイティブの計算が張り巡らされています。