室内である東京ビッグサイトの中に、なぜ気象現象のような雲が発生してしまうのか。そのコミケ雲の仕組みは、自然界で雨雲が形成されるプロセスと完全に一致しています。
主な発生理由は、以下の3つの要素が極端なレベルで重なり合ったことにあります。
第一に、爆発的な湿度の上昇です。夏コミの会場内には、数十万人もの熱烈なオタク層が密集します。人間は安静時でも1時間に数十ミリリットル、暑い環境下で歩行・活動すれば数百ミリリットル以上の汗をかき、呼吸からも水分を放出します。数万人が同時に高密度の空間に集まることで、ホール内の湿度は一時的に90%以上に達することもありました。
第二に、凄まじい上昇気流の発生です。密集した人間の体温と会場内の熱気によって温められた空気は、軽くなって一気に天井へと昇っていきます。
第三に、急激な冷却による結露です。東京ビッグサイトの天井は非常に高く、屋根の鉄骨部分や上層の空気、さらには稼働している大型空調の冷風吹き出し口付近は比較的温度が低くなっています。熱気と大量の水分を含んだ空気が上空で冷やされることで、空気が抱えきれなくなった水分が微小な水滴へと凝結し、肉眼で見える「雲」となったのです。