野外でコウノトリの巣を目にした人がまず驚愕するのは、その規格外の大きさです。一般的な野鳥の巣が手のひらサイズから数十センチ程度であるのに対し、コウノトリの巣は直径が約1.5〜2.0メートル、厚み(深さ)だけでも50センチ〜1メートル以上に及びます。
これほど巨大化する最大の要因は、コウノトリが同じ巣を何年にもわたって再利用し、繁殖期のたびに新しい枝を積み重ねていく「増改築」の習性にあります。初年度こそ直径1メートル前後であっても、年数を経るごとに周囲の枯れ枝や泥、草が幾重にも塗り固められ、長年使われた巣の総重量は300キロから時には500キロ以上(海外の近縁種では1トン近く)に達することが報告されています。
巣作りの土台となるのは、周辺の林から集めてきた太さ数センチ・長さ1メートル前後の太い木の枝です。雌雄が協力して頑丈なフレームを組み上げた後、中央の窪み(産卵床)には小枝、枯草、イネ科植物の茎、コケ、獣毛などを敷き詰め、卵や孵化したばかりのヒナを衝撃や冷えから守るクッションを作ります。さらに、巣の外縁部には泥を塗り込んで風雨に耐えうる強度を確保するなど、極めて計算された土木構造を持っています。