『クレヨンしんちゃん』は基本的に爆笑を誘うギャグアニメである。だが、「殴られウサギ」シリーズが放映される回に限っては、完全なサイコホラーへと変貌を遂げる。月明かりの下で勝手に立ち上がり、赤い目を怪しく光らせながら部屋の隅に佇む演出は、怪談話のクオリティを遙かに凌駕している。
画面の静寂、不穏な効果音、そして急展開するホラー演出。金曜の夜に子どもたちが悲鳴を上げた伝説のエピソード群は、アニメーションの表現技法としても極めて高い評価を得ている。日常の隙間に潜む恐怖を巧みに描き出すその手法は、単なる子ども向けアニメの領域を軽々と突破していた。