家族関係の崩壊や介護うつを防ぐためには、介護を家族だけで抱え込まず、外部の専門機関へ適切に委ねる「心理的バウンダリー(境界線)」の確立が不可欠です。「親を施設に入れるのは見捨てることではないか」という罪悪感に囚われ、共依存に陥ってしまう家族は少なくありません。しかし、リハビリと医療管理が整った施設を利用することは、本人の自立と家族の生活を守るための前向きな選択です。
現場の状況を踏まえ、老健の選択が適している人と慎重になるべき人のチェックリストを提示します。
老健の利用を強くおすすめできるケース:
- 骨折や脳血管疾患の急性期治療を終え、自宅復帰に向けた集中的なリハビリが必要な人
- 胃ろうやインスリン投与など、一定の医療管理が必要で自宅での介護体制が整っていない人
- 特養の入所順番待ちをしている間の安全な受け入れ先を確保したい人
- 要介護認定が「要介護1〜2」であり、特養の申請基準(原則要介護3以上)に満たない人
老健の利用を慎重に検討すべきケース:
- 「もうこれ以上引っ越しをさせたくない」「看取りまで一つの個室で暮らしたい」という永住希望が強い場合(介護付き有料老人ホームや特養が適任)
- 本人のリハビリ拒否が極めて強く、集団生活やリハビリプログラムへの参加が困難な場合
- 在宅復帰を全く想定しておらず、次の施設探しの調整を行う家族の支援体制が一切存在しない場合