小説を読んだ多くの旅行者が現地を訪れて最も衝撃を受けるのは、「目の前に水がほとんど存在しない」という厳然たる光景です。梁山泊の現在の場所は、中国山東省済寧市に位置する梁山県にあります。
かつて「水面八百里」と謳われた広大な水域が消滅した決定的な理由は、歴代の黄河の流路変遷にあります。南宋から金・元・明・清の時代にかけて黄河は幾度も大規模な決壊と流路変更を繰り返し、大量の黄土と泥砂を運ぎ込みました。その結果、湿地や湖沼は完全に土砂で埋め立てられ、肥沃な農耕地へと変貌を遂げたのです。
現在の山東省梁山県には、標高わずか197.9メートルの孤峰「梁山」が平原の中にそびえ立っています。山一帯は「水泊梁山風景名勝区」として整備され、忠義堂や断金亭、黒風口といった作中の名所が堂々と再現されています。現地の観光データによると、旧正月や国慶節などの大型連休には国内外から数十万人規模の歴史ファンが詰めかけ、VR技術を活用したアトラクションや宋代武術の実演ショーで賑わいを見せています。水運の要衝としての面影は失われたものの、豪傑たちが駆け抜けた荒々しい岩肌と戦略的な稜線は、今なお訪れる者を圧倒する迫力を保ち続けています。