「キューピット」の語源を遡ると、古代西欧の神話体系に行き着く。その最初期の姿はギリシャ神話に登場する愛の神エロースだ。翼を持ち、黄金の矢で恋心を、鉛の矢で拒絶の情を人々の心に射込む情熱的な神として描かれていた。
この情熱の神はやがてローマ神話に取り入れられ、ラテン語の「欲求」を意味するクーピードへと変容を遂げる。背中に羽を生やした愛らしい幼児の姿で弓矢を構えるモチーフは、このローマ時代に決定づけられた。無邪気でありながら、人の心を翻弄する抗えない愛の力を象徴する姿が、現代まで続く象徴的イメージの根幹を成している。