林隆三さんの原点を語る上で欠かせないのが、劇団俳優座養成所の存在だ。彼が所属したのは、のちに伝説と呼ばれる「第15期生」。同期には原田芳雄、地井武男、夏八木勲、前田吟、村井国夫、太地喜和子といった、昭和の演劇・映像史を彩る怪物たちが顔を揃えていた。互いに激しく火花を散らし、芝居の真髄を貪欲に追い求めた濃密な青春時代が、彼の骨太な演技の土台を築き上げた。
また、先輩俳優であり盟友として知られた津川雅彦さんとの関係も深かった。互いの演技論をぶつけ合い、時には厳しく、時には温かく芸を磨き合った二人の信頼関係は、画面越しにも伝わる重厚な空気感を生み出していた。津川さんは林さんの早すぎる死に接した際、その才能と表現への妥協なき姿勢を惜しみ、深い悲痛の声を寄せている。