賃貸住宅の床を手軽にグレードアップできる建材として定着したフロアタイルですが、国民生活センターや賃貸管理トラブル相談窓口には、DIY床材に起因する相談がコンスタントに寄せられています。現場取材を進めると、後悔を口にする入居者の動機には共通する3つの決定的な落とし穴が浮かび上がってきます。
第1の要因は、退去時に突きつけられるフロアタイル退去費用トラブルです。「現状復帰可能」と謳う市販品であっても、既存フローリングとの相性や長期間の圧力によって、裏面の滑り止め成分が床ワックスと化学反応を起こし、頑固な油膜やベタつきを残す事例が多発しています。原状回復ガイドライン上、入居者の故意・過失による汚損と見なされれば、フローリング全体の張り替えや特殊洗浄費用として敷金全額償却+追加請求(平均8万〜15万円規模)へ発展します。
第2の要因は、施工後にじわじわと生活空間を蝕む「施工ストレスと精度の限界」です。カッターで切断できるとされていても、部屋の凹凸やドア枠周りのミリ単位の加工は素人にとって過酷な作業です。隙間からホコリやこぼした液体が侵入し、不衛生な環境を生み出す原因になっています。
第3の要因は、居住中には気づけない「床下の不可視リスク」です。密閉された床下で湿気が滞留し、知らぬ間にカビや腐食が進行しているケースが現場で頻発しています。