NHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』における丹後局役も、鈴木のキャリアを語る上で欠かせない。朝廷の頂点に君臨する後白河法皇を陰で操り、武士たちの思惑を冷徹に見据える貴族社会の象徴。あの豪華絢爛な時代劇のセットの中で、彼女はわずかなセリフと微動だにしない所作だけで、画面全体のトーンを支配してみせた。
時代劇という厳格な形式美が求められる空間で、形式に押し込められることなく、生々しい政治的リアリズムを吹き込む。その堂々たる風格は、長年にわたり培われた確かな技術と歴史への深い洞察に裏打ちされている。気品と怜悧さを同居させた丹後局の姿は、多くの大河ドラマファンの脳裏に今なお強く焼き付いている。