どれほど精巧に作られた隠し扉であっても、何もないフラットな壁に一枚だけ絵画がぽつんと飾られていれば、誰しもが裏を疑って近づいてしまう。優れたビルダーほど、空間全体のインテリアに絵画を自然に溶け込ませる「カモフラージュの美学」を心得ている。
効果的なのは、本棚や樽、作業台などを並べた図書室・倉庫エリアの一角に絵画を配置するアプローチだ。左右に装飾用の柱を立て、壁面に凹凸を持たせることで、絵画が部屋のアクセントとして自然に機能する。また、複数の絵画をランダムに並べたギャラリー風の廊下に仕立て上げれば、どれが本物の壁でどれが通路なのかを特定することは極めて困難になる。
あえてトラップドアを壁の飾り棚のように周囲へ散りばめておき、そのうちの1箇所だけを通路の支柱として機能させるデザインも有効だ。部屋全体に統一感を持たせることが、最大の防衛策となる。