そして、日本の歌謡史・児童文学史に不滅の足跡を残したサトウハチロー。彼は愛子の異母兄にあたる。誰もが口ずさむ「ちいさい秋みつけた」や「うれしいひなまつり」の作詞者でありながら、その私生活は放蕩と無頼に満ちていた。
二人の関係は単純な「兄妹」の一言では片付けられない。互いの才能を認めつつも、その生き方の違いから生じる軋轢は絶えなかった。ハチローの持つ繊細さと狂気、そして愛子が持つ強靭な生命力。同じ父親から受け継いだ「表現者の業」が、異なる形で花開いた結果がそこにある。この兄妹の対比こそが、佐藤家のダイナミズムを象徴している。