鳥居をくぐり参道を歩むと、まず目を奪われるのが樹齢を重ねたスギやツバキの大木群だ。木漏れ日が苔むした石段を斑に照らし出し、独特の幽玄な景観を作り出している。取材時に社務所近くで出会った地元の管理者に話を聞くと、「早朝の朝露が残る時間帯が最も神気が満ちる」という。
本殿の細部を観察すると、幾度かの再建を経つつも、伝統的な大社造の意匠が随所に残されていることに気づく。木彫の木鼻や蟇股に施された意匠は質実剛健そのものだ。特に本殿背後に広がる社叢の奥には、かつて磐座信仰が行われていたとされる巨石群が手つかずのまま残されており、古代の自然信仰の残り香をダイレクトに体感できる。