世界的な評価を決定づけた巨匠・黒澤明との濃密な共同作業は、日本映画史における奇跡の邂逅だった。『用心棒』『天国と地獄』での鮮烈な演技を経て、世界的名作『影武者』では急遽の代役という重圧を跳ね除け、武田信玄とその影武者という難度の高い二役を見事に演じ分けた。黒澤の過酷な要求に応え切ったその気迫は、世界中の映画ファンを震撼させた。
さらにシェイクスピアの『リア王』を翻案した壮大な歴史絵巻『乱』で見せた一文字秀虎役の演技は、まさに狂気と悲哀の極致であった。白塗りの異様なメイクの下から滲み出る人間の業と虚無感。仲代がスクリーンに焼き付けたあの圧倒的な存在感は、CG技術が発達した現代にあっても色褪せるどころか、観る者を圧倒し続けている。黒澤監督との魂のぶつかり合いによって磨かれた表現力は、彼の俳優人生における不動の礎となった。