旗艦モデルであるアーロンチェア(Aeron Chair)と、若き名作セイルチェア(Sayl Chair)。この2択で頭を抱えるユーザーは後を絶たない。生みの親であるビル・スタンフ(Bill Stumpf)が追求したアーロンの真髄は、ペリクルと呼ばれる独自メッシュによる完璧な体圧分散と前傾チルト機能にある。キーボードを叩き続ける執筆者やプログラマーにとって、骨盤を立たせ背骨を理想的なS字に保つサポート力は唯一無二だ。
しかし、万人にアーロンが最適解かといえば、答えは否である。フレームの硬いエッジは、胡坐をかいたり座面で身体を崩したりする自由を許さない。対照的に、ゴールデンゲートブリッジの吊り橋構造に着想を得たセイルチェアは、驚くほどしなやかだ。フレームレスな背もたれが上半身のひねりや伸びに追従し、日本のタイトな住宅環境にも軽やかに溶け込む。前傾姿勢での鬼気迫る集中を求めるならアーロン、自由な姿勢でクリエイティブワークに没頭したいならセイル。この明確な境界線こそが、購入後の後悔をゼロにする試金石となる。