予告先発が発表された後、極稀に発生するのが「予告先発の変更」という緊急事態です。ファンやメディアの間では「電撃登板」「奇襲作戦」などと騒がれることもありますが、NPBの現行ルールにおいて、一度公表された予告先発を戦術的な理由だけで自由に変更することは認められていません。
予告先発を回避する理由として公式に認められるのは、直前の練習中の負傷、急激な体調不良(発熱や感染症など)、あるいは移動トラブルといった「正当な理由」が存在する場合のみです。過去の事例を見ても、ウォーミングアップ中の腰の違和感や指のマメの潰れなど、不可抗力のトラブルがほとんどを占めます。
ネット上の掲示板やSNSでは「相手打線を見てビビって回避した」「隠し球を使うための策略だ」といった根拠のない憶測が飛び交うことがありますが、これはルールの制約を知らないことによる誤解です。先発を回避せざるを得なくなった球団は、急遽ロングリリーフや谷間の投手を立てることを強いられ、ブルペン全体に甚大な負荷がかかるため、チームにとっては明らかな大打撃となります。
また、屋外球場における球場の天気と中止情報も予告先発の運用を大きく狂わせる要素です。試合途中の降雨ノーゲームや試合前の雨天中止が発生した場合、予定されていた先発投手を「翌日にスライド登板」させるのか、それとも「1回飛ばして次のカードに回す」のかという選択は、その後のローテーション全体を揺るがす重大な分岐点となります。