「なぜこれほど頻繁にディオ役の声優が交代してきたのか」という疑問を持つファンは少なくありません。この交代劇には、当時のアニメ・ゲーム業界の制作環境と作品ごとのコンセプトの違いが大きく関係しています。
1990年代初頭のOVA版では、ハリウッド映画のようなサスペンスアクションが目指されたため、洋画吹替で数々の名優を担当してきた田中信夫氏が起用され、渋く重厚なDIOが描かれました。一方、アーケードゲームとして大ヒットしたカプコン版の格闘ゲームでは、プレイヤーのアドレナリンを刺激するハイテンションな叫びとトリッキーな迫力が求められ、千葉繁氏が抜擢されています。
さらに2000年代のゲーム『ファントムブラッド』では、ジョナサンと対比される「冷徹な美男子」としての側面に焦点を当て、緑川光氏のクールな美声が採用されました。つまり、シリーズとしてキャストが固定化されていなかった時代は、各制作会社が解釈する「その媒体に最も適したディオ像」を追求した結果としてキャスティングが分かれていたのです。
この流れに終止符を打ち、決定打となったのが2012年から始まったテレビアニメシリーズでした。荒木飛呂彦氏の世界観を原作準拠で完全に映像化するビッグプロジェクトにおいて、満を持して選ばれたのが子安武人氏でした。