なぜモアイ像の体は、これほど深い地中に埋もれてしまったのでしょうか。「古代の人々が何らかの儀式で意図的に埋めたのではないか」という仮説も囁かれましたが、地質学的な調査の結果、完全な自然現象による土砂の堆積であることが判明しています。
第一の理由は、モアイ像が切り出された火山「ラノ・ララク」の地形的要因です。モアイ像の多くはこの火山の凝灰岩(固まった火山灰)を削って製造されていました。山肌の急斜面には完成直前、あるいは運搬待ちの像が多数立て掛けられていましたが、島内の森林伐採や環境変化に伴って激しい土壌浸食が発生。雨風によって斜面を流れ落ちた膨大な土砂や瓦礫が、数百年という歳月をかけて石像の足元から徐々に覆い尽くしていきました。
第二に、海岸沿いの祭壇(アフ)に設置された像との違いが挙げられます。集落を見守るためにアフへ運ばれて直立していた像は風化や部族抗争によって倒されましたが、斜面に残されていた像は流れ込んだ土砂によって直立したまま固定され、結果として体がすっぽりと地中に埋没したのです。人為的な意図ではなく、自然のサイクルが巨大な胴体を地中に封じ込めていました。