直火による鍋加熱と異なり、なぜ電子レンジ調理では焦げ付きの失敗が発生しにくいのだろうか。その鍵は食品科学の視点にある。砂糖に熱が加わることで分子が分解・脱水・重合し、特有の芳香と琥珀色を生み出す熱分解現象を「カラメル化」と呼ぶ。直火では鍋底の一部だけに過度な高熱が加わりやすいため、局部的な過熱が起きて真っ黒に炭化してしまう。
これに対し、電子レンジはマイクロ波が容器内部の水分や糖分に均一に作用する。容器全体で均一な熱伝導が促進されるため、過度な局所加熱を防ぎながら安定して160度〜180度のカラメル化適温へと達するのだ。さらに、微量のタンパク質やアミノ酸が含まれる素材を組み合わせた際には、香ばしさを増幅させる「メイラード反応」も複雑に絡み合い、深みのある豊かな味わいが短時間で醸成される。