ヒロインであるシータの本名は「リュシータ・トエル・ウル・ラピュタ」。「トエル」が「真」を意味するのに対し、ムスカの「パロ」は「分家」を指し、ふたりはかつてひとつの王家から二手に分かれた一族の子孫という関係にあります。約700年前にラピュタが滅びの危機に瀕した際、地上へ降り立った王族が二つに分裂したとされています。
両者の決定的な違いは、地上での生き方と家業の伝承にありました。シータの家系はゴンドアの谷の奥深くで農業を営み、飛行石や呪文を「危険な力」として封印しながら静かに暮らしてきました。対するムスカの家系は、いつの日か再びラピュタの玉座へ返り咲く野望を抱き、古文書の断片や暗号が記された黒革の手帳を一子相伝で継承してきたのです。
ムスカがラピュタを目指した真の目的と理由は、単なる財宝の略奪ではありませんでした。失われた超テクノロジーを手中におさめ、愚かな地上の人間たちを恐怖でねじ伏せる「ラピュタ王としての世界再征服」です。一族が数百年にわたり抱き続けてきた劣等感と野望のすべてが、ムスカという一人の青年に凝縮されていました。