ロンドン出身のナオミ・キャンベルは、15歳でスカウトされて以降、瞬く間にスターダムへと駆け上がりました。しかし、その華々しい栄光の裏には、当時のファッション界に根強く残っていた深刻な人種差別との戦いがありました。
黒人モデルとして初めて『仏版VOGUE』や『TIME』誌の表紙を飾るなど、彼女が打ち立てた金字塔は数知れません。親友であり戦友でもあったリンダ・エヴァンジェリスタやクリスティ・ターリントンが「ナオミを使わないなら、私たちも出演しない」とデザイナーたちに直談判した逸話は、90年代スーパーモデルたちの連帯と彼女の実力を物語る伝説的なエピソードです。
一方で、その気性の激しさから巻き起こした数々のトラブルも彼女の歴史の一部です。2000年代にはアシスタントへの携帯電話投げつけ事件などで度々法的処分を受け、ニューヨークで課された社会奉仕活動にオートクチュールのドレスで出頭した姿は、世界中のタブロイド紙を賑わせました。自著や後年の回顧インタビューで、彼女は「若さゆえの未熟さと、常に戦い続けなければ居場所を奪われるという極限のプレッシャーがあった」と当時の苦悩を率直に告白しています。