全5章で構成される本シリーズは、作品ごとにまったく異なるトーンと表情を見せる。第1作『マングローブ』は、警察の執拗な弾圧に立ち向かったレストラン店主と活動家たちの裁判劇だ。レティシャ・ライトが演じた実在の活動家アルシア・ジョーンズ=レコインのスピーチ場面は圧巻の一言。撮影現場には当時の被告の親族が立ち会い、緊張感あふれる空気がそのままフィルムに刻まれた。
続く第2作『ラヴァーズ・ロック』は一転して、1980年の大音量なハウスパーティーの一夜を描き出す。白人主導のクラブ文化から排除されていた若者たちが、手作りのスピーカーとレゲエ音楽のうねりに身をゆだねる様は官能的ですらある。大半が即興演技で構成されたこのエピソードは、人種差別の裏にある若者たちの日常の歓喜を浮き彫りにした。
第3作『レッド、ホワイト&ブルー』では、差別が蔓延するロンドン警視庁に身を投じた実在の警察官リロイ・ローガンをジョン・ボイエガが力演。タイトルに含まれる「レッド」や「ホワイト&ブルー」という色調のコントラストを通じて、国家の象徴である警官制服を着ることへの葛藤と孤独を描き出した。
第4作『アレックス・ウィートル』は、のちに著名な児童文学作家となる実在の人物アレックス・ウィートルの波乱に満ちた青春期をフィーチャー。社会の底辺での苦闘と刑務所での出会いがひとりの青年の運命を変えていくプロットだ。そして第5作『エデュケーション』は、黒人の子供たちを「非正常」として特殊学校へ追いやっていた70年代英国の不当な教育システムを糾弾し、我が子を守るために立ち上がった母親たちの絆を描いた。