インターネット上の掲示板やSNSでは、過去のドタキャンやバンド脱退の多さから、マイケル・シェンカーを「気難しいトラブルメーカー」と評する声が散見されます。しかし、当時の関係者インタビューや近年の心理学的分析から浮かび上がるのは、全く異なる人物像です。
マイケルがバンドを離脱したりメンバーと衝突したりした本質的な原因は、傲慢さではなく極度の音楽的純粋主義と繊細さにあります。彼は10代の頃から「他のギタリストのレコードを一切聴かない」という厳格なルールを自らに課し、自身の内面から湧き出るメロディだけを抽出することに全霊を捧げてきました。商業的なヒットを狙った曲作りやレコード会社の政治的介入に直面すると、自らのアイデンティティが汚されるような耐え難い苦痛を感じてしまう心理構造を持っていたのです。
2000年代中盤の中野サンプラザ公演などで見られた途中降板といった不調期も、内面的な葛藤と長年のプレッシャーが肉体的な限界を超えた結果でした。彼の行動を「奇行」として片付けるのではなく、純粋な芸術性を守るための防衛反応であったと捉え直すことで、その音楽の純度の高さが改めて浮き彫りになります。