個人の心理的傾向を増幅させているのは、他でもないソーシャルメディア産業そのもののビジネス構造だ。かつてGoogleのデザイン倫理担当を務め、現在はCenter for Humane Technologyの共同創設者として警鐘を鳴らし続けるトリスタン・ハリスは、プラットフォームのアルゴリズムが「人間の脳幹をハッキングしている」と指摘した。
経済学者ショシャナ・ズボフが名著『監視資本主義: デジタル社会がもたらす光と影』で暴き出したように、巨大テック企業の収益源はユーザーの可処分時間、すなわちアテンション(関心)の収奪にある。穏健で客観的な事実よりも、怒りや恐怖、道徳的な義憤を煽る投稿の方が圧倒的に滞在時間を伸ばし、広告収益を生み出す。プラットフォームは意図的に人間を分断し、過激化させる情報を優先してフィードの最上段へ押し上げるよう設計されているのだ。