思想家の没後もそのテクストは呼吸を止めていない。現在、丸山眞男記念比較思想研究センターを中心として、膨大な自筆原稿や講義録、未公開メモの網羅的な整理とデジタル化が進展している。これにより、完成された論文の背後にある苦闘の思考プロセスが鮮明になってきた。
研究者のみならず一般の市民であっても、国立国会図書館デジタルコレクションを通じて当時の貴重な論戦資料に直接アクセスできる環境が整った。さらに、NHKオンデマンドをはじめとする映像・音声アーカイブの整備により、激動の時代に肉声で民主主義の危機を訴えた丸山の講義や座談会が再評価されている。断片的な引用にとどまらない、論考の全体像を立体的に検証する新たな潮流が確実に生まれているのだ。