なぜ台湾で愛され続けるのか?八田與一の功績と知られざる現在地に関する質問を徹底的にまとめました。詳細な解説をご覧ください。

台南市官田区に位置する烏山頭ダム。上空から見下ろすと無数の入り江が珊瑚のように広がることから「珊瑚潭」とも呼ばれるこの人造湖は、今も変わらず滔々と水を湛えている。完工は1930年。当時としては世界最大級、東洋一を誇ったこの巨大インフラを設計・指揮したのが八田與一だった。

特筆すべきは、八田が導入した先進的な土木工学技術だ。コンクリートを極力使わず、現地の粘土や砂利を水流で選別・堆積させる「セミ・ハイドロリック・フィル工法」を採用。地震大国である台湾の地質を見事に見抜いた柔軟な構造は、後の大地震や幾度もの大型台風にも耐え抜き、世紀を超えて機能し続けている。

ダムから張り巡らされた嘉南大圳(かなんたいしゅう)の総延長は、実に1万6000キロメートル。地球を半周するほどの長さを持つこの水路網は、現在も台湾農業部農田水利署によって厳格に維持・管理されている。単なる農業用水にとどまらず、近隣都市の上水道や台南サイエンスパークの工業用水の基盤としても機能しており、台湾ハイテク産業の繁栄すら間接的に支えている現実はあまり知られていない。