ベトナムの全体像をつかむうえで、まず押さえるべきは「S字型の国土構造」と「隣国との国境線」です。ベトナムの国土面積は約33万1,210平方キロメートルで、日本の国土面積(約37万8,000平方キロメートル)の約88%、本州とほぼ同等の広さを誇ります。北は中国、西はラオスおよびカンボジアと長い国境を接し、東側全域が南シナ海(ベトナム名:東海)に面しています。
この広大な国土の中で、旅行やビジネスの拠点となる主要都市は、大きく「北部」「中部」「南部」の3つに明確に分かれています。
最北部に位置するのが首都ハノイです。政治と文化の中心地であり、1000年以上の歴史を誇る古都としての落ち着いた風情を湛えています。紅河(ソンコイ川)デルタ地帯に広がり、世界遺産ハロン湾や山岳リゾート・サパへの玄関口でもあります。
国土の中央部に位置するのが、近年目覚ましい発展を遂げているダナンです。美しい海岸線が広がるビーチリゾートでありながら、古都フエやランタンが揺れるホイアン、ミーソン遺跡といった世界遺産群へ車で1〜2時間圏内という絶好の観光ハブ機能を備えています。
そして最南部、メコンデルタの付け根に位置するのがホーチミン(旧サイゴン)です。人口900万人を超えるベトナム最大の商業都市であり、フランス統治時代の面影を残すコロニアル建築と林立する超高層ビルが混ざり合う、活気あふれる熱帯のメガシティです。
ハノイからホーチミンまでの直線距離は約1,150km、実際の陸路移動距離では約1,700kmに達します。これは東京から鹿児島、あるいは札幌から福岡までの距離に匹敵するスケール感であり、地図上の縮尺だけで「すぐ隣の街」と錯覚することは極めて危険です。