数ある名作の中でも、昭和の放送当時にお茶の間を凍りつかせたツートップが『新八犬伝』と『プリンプリン物語』です。
1973年から1975年にかけて放送された『新八犬伝』において、今なお伝説的な恐怖として語られるのが「玉梓が怨霊(たまずさがおんりょう)」です。人形美術家・辻村寿三郎(ジュサブロー)氏による造形は、能面のような冷ややかさと妖艶な毒気を放ち、暗闇に浮かび上がるその顔立ちは子供たちを本気で怯えさせました。「我こそは玉梓が怨霊…」というおどろおどろしい名台詞とともに宙を舞う生首の演出は、昭和のNHK人形劇における屈指の怖いシーンとして歴史に刻まれています。
一方、1979年から放送された『プリンプリン物語』に登場したのが、軍事国家アクタ共和国の独裁者「ルチ将軍」です。「知能指数は1300!」と豪語するこの怪人は、頭部が異常に巨大な逆三角形をしており、興奮するとパカッと頭部が開いて内部のメカニズムや知能指数メーターが発光・露出するという怪奇極まりないギミックを備えていました。コミカルなミュージカル調の作品世界において、ルチ将軍の放つ不条理な狂気と独裁の冷徹さは、幼児期の記憶に鮮明なインパクトを残しました。