地盤調査の現場で最も広く実施されるのが「標準貫入試験(JIS A 1219)」です。採取されたN値から内部摩擦角を直接推定する換算式は、数多くの研究者や基準書から提案されています。
1. 道路橋示方書の換算式
道路・橋梁分野をはじめ、実務で最も汎用的に使われる推定式です。
$$\phi = 15 + \sqrt{15N} \quad (\text{ただし } \phi \le 45^\circ)$$
N値が5刻みで増加するにつれて滑らかに$\phi$が上昇し、$N=1$で約$18.9^\circ$、$N=20$で約$32.3^\circ$、$N=50$では最大値上限である$45^\circ$に達します。過大評価を抑えた安全側の設計式として高い信頼性を持っています。
2. 大崎の式(Osaki's Formula)
建築基礎構造設計などで広く用いられる著名な算定式です。
$$\phi = \sqrt{20N} + 15 \quad (\text{または } \phi = 20 + 0.3N \text{ など複数提唱})$$
道路橋示方書の式と挙動は近似していますが、中〜高N値領域においてやや高めの摩擦角を算出する傾向があります。砂質地盤の支持力をより合理的に評価したい構造設計で重宝されます。
3. Dunham(ダンハム)の式
砂の粒度特性(粒径の均一さ、粒子の丸み・角張り)を考慮した換算式です。粒度試験結果を組み合わせることで精度の高い推定が可能です。
大崎の式とDunham式の比較および換算時の注意点
大崎の式がN値のみを独立変数とするシンプルな運用を想定しているのに対し、Dunham式は「同じN値であっても、粒が尖った砂礫と丸い均一な細砂では発揮される強度が異なる」という土質の本質を反映しています。
ただし、換算式を用いる際には有効土被り圧(上載圧)の影響に留意しなければなりません。地表付近の浅い層にある砂は、拘束圧が小さいため貫入抵抗(N値)が低く出がちです。逆に大深度の砂層は高拘束圧によってN値が高く計測されます。近年では、基準上載圧($100\ \text{kN/m}^2$)に換算した修正N値($N_1$)を用いて摩擦角を求める手法も標準化されています。