家庭で金山寺味噌を仕込む前に、まず理解しておきたいのが金山寺味噌と普通のみその違いです。私たちが普段の味噌汁に使う味噌は、大豆を蒸して潰し、米麹または麦麹と塩を混ぜ合わせて半年から1年以上かけて発酵させる「調味料」です。これに対して金山寺味噌は、米・大麦・丸大豆の3種をあらかじめ一緒に製麹(せいきく)した専用の麹に、刻んだ野菜を直接漬け込み、短期間で発酵・熟成させて具材ごと食べる「なめ味噌(総菜味噌)」に分類されます。
その歴史は古く、鎌倉時代に僧侶の心地覚心(法灯国師)が中国の径山寺(きんざんじ)から製法を日本へ持ち帰り、紀州由良の興国寺を経て、水質の優れた和歌山湯浅の伝統製法として定着しました。仕込み桶の底に溜まった上澄み液の旨味に気づいたことが、日本の「たまり醤油」の起源になったという逸話は広く知られています。野菜から染み出る自然な甘味と水分、そして大豆・麦・米が織りなす重層的な酵素分解が、調味料の枠を超えた深いコクを生み出すのです。