広く知られている『おしゃべりな亀』の基本的な物語構造は、極めてシンプルかつ教訓的です。主な登場人物は、口数が多くおしゃべりが大好きな1匹のカメと、カメと親交の深い2羽の渡り鳥(ツル、ガン、あるいはカモ)です。
ある日、日照りによってカメが暮らす池の水が干上がり、命の危機に瀕します。親切な鳥たちは、水が豊かで暮らしやすい別の池へカメを連れて行こうと提案します。そこで鳥たちが考案したのが、「おしゃべりなカメ 鳥と棒」として有名な移動手段でした。
2羽の鳥が一本の木の棒の両端をくちばしでくわえ、カメはその中央を頑丈な顎でしっかりとくわえて宙に浮きます。鳥たちは出発前、カメに強く警告しました。「空を飛んでいる間は、何があっても絶対に口を開いてはならない。口を開けば棒から離れ、真っ逆さまに落ちてしまうからだ」と念を押したのです。
飛行は順調に見えましたが、村の上空を通過した際に悲劇が起こります。珍しい光景を見上げた地上の子どもや村人たちが「見てごらん、鳥がカメを運んでいるぞ!」「なんて滑稽なんだ」「カメは飛べないくせに馬鹿みたいだ」と指をさして囃し立てたのです。
悪口やからかいを耳にしたカメは、怒りと自己顕示欲を抑えきれなくなりました。「余計なお世話だ!」「お前たちには関係ない!」と言い返そうと口を開いた瞬間、カメは棒から外れ、地上へと猛スピードで墜落。おしゃべりな亀の結末は、地面に激突して命を落とす、あるいは甲羅が粉々に砕けて大怪我を負うという無残な形で幕を閉じます。